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六さんの談話室
 
視点を変えて見る建設産業
   
   70万ともいわれる建設企業。大会社から個人企業まで組織、規模、営業エリア、 どの視点からみても多様性に富み、活力に溢れる巨大産業です。 視点を変えるとどう見えるのか。材料を提供したいと思います。 種々の統計その他の資料に当たることになったため、 かえって混乱させる結果になったかもしれません。

○ 企業組織で見る
(法人と個人)
 事業所・企業統計によれば、建設企業50.8万の構成は、個人企業22.4万で44%、 法人企業28.4万で56%と大きく分かれます。 法人の内訳としては株式会社13万、有限会社15万となっていますが、 この統計調査は小規模法人の補足率が十分でない可能性があり、有限会社の数はもっと多いと思われます。
 個人企業はすでに減少傾向が顕著にみられており、また、会社法の施行により有限会社も減少の方向とみられます。
(会社法の大会社)
 企業に対する重要な視点として内部統制と情報開示があります。 この視点からは、会社法により会計監査人の設置や内部統制など厳しく規制される大会社とそうでない中、 小会社、金融商品取引法によって詳細で継続的な情報開示を義務付けられる上場会社を分けてみることになります。
 建設業許可業者を対象に、会社法による大会社、中会社、小会社の区分を資本金の規模だけでやってみると、 大会社2,077(0.4%)、中会社3,082(0.6%)、小会社415,270(76.6%)となり、残りは個人企業です(平成18年3月末)。 ここで大会社は資本金5億円以上、中会社は同1〜5億円未満です。
 大会社の多くは、本業が他産業であって建設業専業企業はわずかです。 会社法は、内部統制等について大会社に厳しい対応を迫るものですが、その対象となる建設企業数は決して多くはありません。 なお、建設工事施工統計は資本金3,000万円以上について悉皆調査ですが、これによれば、 資本金3億円超の建設業専業企業数は429社となっています。
(金融商品取引法の上場会社)
 金融商品取引法(旧証券取引法等)の対象になり継続的に詳細な情報開示を求められる上場企業ということになると、 建設業として区分されているのは210社あまりで大会社よりさらに少数になります。 ただし、他産業として区分されていても建設業としての売り上げがかなりの額になる企業は多いのですから、 210社余という数字も大した意味はないともいえます。
 いずれにしても、内部統制、情報開示を法令で厳しく要求される企業はわずかですが、 そうでない企業についても内部統制などのあり方を問わなければならないのが現状です。

○ 企業の規模で見る
(従業員数)
 建設工事施工統計の施工業者数27.4万を従業者数によって分ければ、100人以上の企業数は5,776社で2.1%を占め、 このうち1,000人以上となれば543社にすぎないのが実態です。一方で、19人以下の小企業と個人が84%を占めています。
(完成工事高)
 同じく施工統計では、完工高1億円未満が企業数全体の約6割、1〜5億円が3割強、5〜50億円は8%程度であり、 ここまでで99%を越えています。 完工高50億円を超える企業は1,500社程度を数えますが、全体の1%未満ということです。
 このように建設企業のほとんどが中小、零細な企業であることは事実であっても、業種や業態によっては、 また別の見方が必要になります。 労働集約度が大きい業種、あるいは自社施工中心の企業とそうでない企業では、 従業員数や完工高の意味するところが大いに異なると思います。

○ 企業の営業エリアで見る
 建設産業の場合、公共工事受注との関係から地域性が問題にされることがありますが、 企業の営業エリアを統計数字から掴むのは困難です。 ここでは、建設業大臣許可業者数の全国分布の様子、もうひとつは、 各都道府県内で施工された元請完工高に対して同じ都道府県内所在企業の施工高がどんな割合にあるのかをみてみます。
(大臣許可業者数の全国分布)
 大臣許可業者約1万社について、本店所在都道府県別の分布をみてみます。 東京都と大阪府で約4,400、4割強を占めますが、このほか100社以上の大臣許可企業のあるのが21道府県、 ほとんどの県で50社以上が存在します。 大臣許可業者は、本店所在地以外の都道府県に営業所を設置できるといっても、どれだけの仕事をしているのかはっきりしませんし、 逆に、知事許可であっても、他県で仕事をするのは自由ですから、これから言えることとしては、 広域的な営業を行う企業は全国に広く存在するということ程度でしょう。
(県内工事施工高対県内所在企業の施工高の割合)
 施工統計をみますと、この比率が100を越えるのは東京都の260、大阪府の220だけです。 これらでは域内企業が域内工事高の倍以上の施工高を全国であげているということです。
 一方で、この比率が50%未満の県が4つ、50〜60%未満が16府県あり、これらはほとんどが大都市圏に属します。 多くの県では域内工事の70〜80%を域内企業が施工しているという感じでしょうか。 工事の規模や技術的な特殊性も考えた上でこの数字を解釈する必要がありそうです。
   
  2007/04/01
 
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